How Google Worksという本を読んだ
「グーグルはこの方法で成功した!グーグル会長がビジネスの真髄を初公開!」という帯がついていたので、ビジネス書かと思ったら全然違った。
一言で言うと、経営者、マネージャー向けの「エンジニアの取り扱い説明書」だった。
自由を好む気難しいエンジニアにいかに成果を出させるか、優秀なエンジニアをいかにして集めるかという取り扱い説明書に近い本だった。
エンジニアがビジネスを理解する本だと思っていたが、ビジネス側の人がエンジニアを理解するための本のように思う。
以下、あらすじのピックアップ
プロダクトの優位性=ビジネスとしての成功
今日では、プロダクトの優位性がビジネスとしての成功を決める。
インターネットの普及により「希少性」を武器に戦うことはできなくなった (情報の希少性、流通資源やマーケットリーチの希少性、選択肢や売り場面積の希少性)
スマートクリエイティブ
この本では「スマートクリエイティブ」という単語が繰り返し出てくる。 スマートクリエイティブが成果を出しやすい文化を作れば、企業としての成功が見えてくるし、新たなスマートクリエイティブを引きつけるという。
スマートクリエイティブとは、以下の要素を兼ね備えた人間である。
- 自分の「商売道具」を使いこなせる高度な専門知識
- 専門知識をプロダクトの優位性や事業の成功に結びつけられるビジネスセンス
- クリエイティブなエネルギー
- 自分で手を動かして業務を遂行しようとする姿勢
ここでビジネスセンスという単語が出てくるが、「プロダクトの優位性」を考える力がビジネスセンスに含まれるのが面白かった。 多くの優秀なエンジニアは世間一般で言われる「ビジネスセンス」はないかもしれないが、「プロダクトの優位性」を考える力は持っている。
企業文化とスマートクリエイティブ
スマートクリエイティブは自由を好み、文化を大事にする。 自由で働きやすい文化は新たなスマートクリエイティブを引きつける。
ミッションステートメント(信念)を未来の従業員やパートナーに向けて宣言しよう。
とはいえ、企業の掲げるミッションステートメント(信念)は実態を反映しており、従業員が信じているものでなければならない。
実態と乖離したミッションステートメントは不信感を招く。
スマートクリエイティブが好む文化はいかのようなものだ。
- 権力ではなく能力主義(一番「エライ人」の意見をより優れたアイデアが打ち砕ける)
- トップまでの上司の数が少ない(上司>上司>上司>トップ となると嫌気がさす)
- 一番優秀な人に一番仕事が回ってくる
- デフォルトが「イエス」の文化(新しいチャレンジに「イエス」と言おう)
- 楽しさ(死ぬほど働いているのに、楽しくなかったら何かが間違っている)
- オープンさ(すべてをオープンにしよう)
Aクラスの人を採用しろ
「ポストが空いているから」ではなく、人を見て採用すべき。
Aクラスの人は同じAクラスの人を採用したがるが、Bクラスの人はBクラス、Cクラスの人も採る。 採用のランクを下げると組織が陳腐化する。
感想
Googleが成功したのは良い人を引きつける良い文化と良い組織を作ることに注力したからだとわかった。 この本と同じことをしたらGoogle並みに成長できるかといえばそうではないが、エンジニアが成果を出しやすく、優秀なエンジニアを引きつける企業を作れると思った。