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叩けシンプルの杖

ピクシブ株式会社を卒業しました

1月末でピクシブ株式会社を退職しました。 2012年4月に新卒として入社してから約3年間大変お世話になりました。 ピクシブ初のiOSアプリエンジニアとして入社し、一人で開発を続けるところから、 モバイルチームのリーダーとして、大人数で開発を進めるところまで、多くのことを経験させてもらいました。 せっかくなので、今まで何を経験して何を学んだのか、何を考えて退職に至ったのかについて書いていきます。

概要

  • 経験したこと
  • 退職に至った理由
  • 最後に
  • 蛇足

経験したこと

  • pixiv公式アプリのリニューアル
  • アプリ向けAPIの開発
  • Appleレビュアーとの戦い
  • iOS、Androidアプリ内課金
  • モバイルチームのリーダー

pixiv公式iOSアプリのリニューアル

アプリの使い勝手を大きく改善するためにリニューアルを行いました。 アプリをリニューアルする際には、UIを考える所から任せてもらいました。 デザイナーさんと1対1で連携し、ユーザーにとって使いやすいアプリとは何なのか考え続けたことは本当に良い経験でした。 iPhoneの狭い画面に多くの機能を詰め込むための機能の優先順位の付け方、 アプリのUIデザインにおけるエンジニアとデザイナーの考え方の違いと作業分担方法など、多くのことを学びました。

アプリ向けAPIの開発

レガシーなアプリ向けAPIを、OAuth 2.0を使用したRESTfulなAPIに書き換える作業を行いました。 サーバーサイドの開発経験は一切無かったので不安だったのですが、一緒にAPIを開発したチームメンバーは優秀なエンジニア達ばかりで、その後一人でアプリ向けのバックエンドを担当できる程度には書けるようになりました。 OAuth 2.0の仕様や、RESTful APIといったAPIについての知識だけでなく、イテレーション単位での開発や、コードレビューの進め方、テスト駆動開発など、チーム開発に必要な多くのことを学びました。

Appleレビュアーとの戦い

とある事情でApp Storeからpixiv公式アプリが取り下げられてしまい、約半年に渡ってAppleのレビュアーと交渉しつづけました。 この年は1年で計16回リジェクトを受けており、この件でかなり忍耐力が付いたと思います。

iOS、Androidアプリ内課金

アプリを単体できちんと収益化するために、iOSとAndroidのSubscription課金を担当しました。 iOSのAuto-Renewable Subscriptionsに関しては、開発開始から審査通過まで約1年掛かったため、AppStoreから取り下げられた際に身につけた忍耐力が生かされたと思っています。 この件では、お金が絡んだ失敗の許されないコードを書く際の緊張感や、会社として開発をする上での収益に対する心構えが身に付きました。

モバイルチームのリーダー

2014年6月からはモバイルチームのリーダーに任命され、チームを率いて開発を進める楽しさと難しさを知りました。 会社としてモバイルに力を入れることが宣言され、多くのプロジェクトにモバイルチームが関わったため、大変やりがいのある仕事でした。 入社当時と比べるとチームのメンバー数は10人程度の規模になっていたため、1人の時とはできることの幅が大きく広がり、 「他に誰かいればできるのに…」と思って諦めていたことが実現できていったのは感動的でした。 反面、メンバーが多くなった分、それぞれのメンバーの意見をまとめてチームとしての方向性を決定するのは大変な仕事でした。 この辺りに関しては、引き継ぎの際に考えていたことをポエムをまとめましたので、後日投稿します。

退職に至った理由

「iOSエンジニアとして一から出直して、良いアプリを作るという事に真摯に向き合いたかった」というのが退職に至った1番の理由です。

チームリーダーとして開発を進めていき、大きなプロジェクトにいくつも関わっていく中で、 私は充実感を覚えると同時に、自分の手でコードを書く時間が減っていくことに対して危機感を覚えていました。 ピクシブのエンジニアは大変優秀で、リーダーとして何かをお願いすると素晴らしい速度と完成度で達成してくれたため、 私は忙しさを言い訳にして、自分の手を動かすことがどんどん減っていってしまいました。

potatotipsなどの勉強会に参加し、他のiOSエンジニアの方と話をする度に「世の中には素晴らしいエンジニアが大勢いて、AppStoreのベストアプリに選ばれるような素晴らしいアプリを作っているのに、自分はこのままで良いのだろうか…」という想いが強くなっていきました。

私が「チームでの開発を上手く回せない」「アプリを収益化するのが難しい」「会社の方向性とチームの方向性が…」などと悩んでいる間に、他のiOSエンジニアはユーザーに認められる素晴らしいアプリを作り出し、それできちんと収益を上げているわけです。私は、社内でiOSエンジニアとして一番頼られている人間が、社外ではiOSエンジニアとして全くいけてないという事実に気付いてしまいました。

そこで私は「現状に甘えていてはいけない。iOSエンジニアとして一から出直そう」と思い直し、自分の力で環境を変えるため退職という道を選びました。

最後に

未熟な私にチャンスをいただき、エンジニアとして一回りも二回りも成長させてくれたピクシブ株式会社とエンジニアの皆様に感謝致します。 エンジニアとしてもう少し成長して、勉強会等で成果をお伝えできればと思います。

蛇足

送別会ではエンジニアの皆さんから薪を*1、同じチームの後輩達からNexus 7を貰いました。ありがとうございました! 薪とNexus 7を使ってiOSアプリの開発頑張ります。

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ほしいものリスト

追記

同期からiPhone用の木製スピーカーもらったの書き忘れてました。 iPhone 5挿して使ってます。 ありがとう!

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*1:実際には「これで薪でも買いなさいよね」とAmazonギフト券を貰いました