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不動産における入居率の計算方法について

不動産投資に関連する分析において、入居率は意思決定に関わる重要な指標になり得ます。

入居率データは不動産管理会社などが公表していますが、それらの定義は公開されていないことが多いです。 今回は入居率がどのような方法で計算されているのか、利用する際の注意点を含めつつご紹介します。

入居率計算方法

入居率に関しては、法的な定義もなく、業界標準となる計算方法も存在していません。 そのため、不動産管理会社等が公表している入居率の値は、それぞれ異なる定義により計算されている可能性があります。

そのため今回は、一般的である入居率の計算方法についてご紹介します。 大きく分類すると、主な計算方法は以下の2種類です。

  • 部屋数ベースでの入居率
  • 稼働日ベースでの入居率

部屋数ベースの入居率

部屋数ベースの入居率は、ある時点での入居実績を元に、入居している部屋の割合を計算する方法です。 この方式の場合、マンション1棟単位で入居率を計算します。

以下の画像の場合、全9室のうち、8室が入居しているため、入居率は89%になります。

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部屋数ベースの入居率

この計算方法は直感的で分かりやすく、入居状況の定点観測が不要というメリットがありますが、あくまでとある時点での入居実績から計算されていることに注意が必要です。

一般的に賃貸物件は1〜3月は需要が高まり、7〜8月は需要が落ち着くと言われていますが、繁忙期と閑散期では部屋数ベースの入居率の傾向は異なると考えられます。

そのため、次に紹介する時系列ベースの入居率の方がより年間の平均傾向を捉えることができます。

稼働日ベースの入居率

稼働日ベースの入居率は、ある期間における稼働日数を元に入居率を計算する方法です。 この方法はホテルおける客室稼働率と同じ計算方法であり、マンション1棟単位だけでなく、1部屋単位でも入居率を計算することができます。

例えば、以下の1ヶ月の場合、30日のうち27日が稼働しているため、時系列ベースの入居率は90%になります。

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この計算方法は部屋数ベースの入居率よりも精緻に入居実態を捉えることができますが、各部屋の日毎の稼働状況を正確に把握する必要があるため、計算には手間がかかります。

また、賃貸不動産においては、退去後のクリーニングや新規募集等で1ヶ月弱の非稼働日が生まれるのは普通であるため、稼働日ベースの入居率を用いる際は、1年以上の期間の稼働実績を元に計算する必要があります。

その他注意点

上記2つの例では日単位で入居率の計算を行っていますが、月単位で契約が行われることが多い賃貸不動産では、集計粒度を月単位に丸めて計算が行われる可能性があります。つまり、その月に1日でも入居日が存在した場合、入居月として計算する方法です。

この方式では日単位よりも粒度が荒いため、月初、月末以外の入退去が多い場合、入居率が実態よりも良い値になることがあります。

このように、入居率の計算方法は多くのバリエーションが考えられるため、定義を確認しつつ利用しましょう。

まとめ

賃貸不動産における入居率は業界標準の計算方式が存在しないため、多くの定義が存在すると考えられます。 それらも大きく分けると部屋数ベースの入居率と、稼働日ベースの入居率に分けることができます。

部屋数ベースの入居率はとある時点で入居している部屋数を元に計算する方式、 稼働日ベースの入居率はとある期間で稼働している日を元に計算する方式です。

その他、細かい定義の違いなども考えられるため、入居率のデータを入手した際には定義を確認しつつ、注意して利用しましょう。