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コーポレートファイナンス読書ログ:第1章

最近、コーポレートファイナンスを読んでいるので読書ログを記事にする。

コーポレート・ファイナンス 第10版 上

コーポレート・ファイナンス 第10版 上

  • 作者: リチャード・A・ブリーリー,スチュワート・C・マイヤーズ,フランクリン・アレン,藤井眞理子,國枝繁樹
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2014/06/20
  • メディア: 単行本
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今回は第1章のファイナンスと財務担当者の内容。

概要

企業は主に二つの財務上の問題を抱えている。 一つがどのような投資をすべきか、もう一つが投資の支払いをどうするか、という問題。 前者が投資の決定。後者が資金調達の決定。

この章は企業とは何か、財務担当者は何かについての説明。

株式会社とは何か

株式会社とは、株主により所有され、株主に選出された経営者により運営される企業のこと。 所有と経営が分離されることにより、経営者が変わっても、株主が変わっても、株式会社は存続することができる。

株主会社は個人企業や、少人数からなるパートナーシップ企業と異なり、有限責任。 株主は会社の債務に責任を負う必要がない。 その代わり、投資したお金を失う可能性がある。

会社は定款(ていかん)によりルール化されており、事業目的や、発行できる株数や、任命する取締役の数などが定められている。

財務担当者の役割

会社は工場などの実物資産を持ち、その実物資産が生み出す現金に対する請求権を売ることで、現金を手に入れる。 請求権は金融資産または有価証券と言われる。

財務担当者は実物資産を使った「会社の事業」と「金融市場」の橋渡し、仲介人をする。

会社の事業と、金融市場のお金の流れはの4つのサイクル。

  1. 会社が証券を売って現金を調達(金融市場→財務担当者)
  2. 事業に現金を投資(財務担当者→会社の事業)
  3. 事業が現金を生み出す(会社の事業→財務担当者)
    • 4a. 現金を再投資のためにプール(財務担当者→財務担当者)
    • 4b. 投資家へ還元(財務担当者→金融市場)

財務担当者の課題は二つ。

  1. 会社の投資、資本支出予算の決定
  2. 資金調達の決定

投資の決定と、資金調達の決定は独立、分離しているのが一般的。とはいえ、投資の際に、金融市場を無視することはできない。

財務担当者は株主の投資した資金の価値を最大化する責任がある。

財務担当者とは誰か

重要な投資、もしくは資金調達の決定に責任を持つあらゆる人のこと。

新しい生産施設を設計するエンジニアも、大規模な広告キャンペーンを手がける販売担当者も、投資の決定をしている。

しかし、大企業においては、専門の責任者がいることが多い。 財務部長、経営部長、CFOなど。

所有と経営の分離

会社の所有と経営の分離には、株主の変更、経営者の変更と会社が独立するというメリットがあるが、デメリットもある。

経営者と株主の利害不一致が生じるとコストがかかってしまう。(エージェンシーコスト)

経営者が株主の資本の価値を最大化するのを怠ったり、株主が経営者を必要以上に監視し影響を与えようとする場合にコストが生まれる。

このような問題(プリンシパルーエージェント問題)は、情報の非対称性があると生まれることが多い。(一方のみが情報を有し、有利な立場にあること)

このようなコストは、銀行と株主、経営者と従業員などの関係でも生まれることが多い。財務担当者は、情報の非対称性を除き、解決すべき。

議論と考察ログ

IT系の企業は実物資産が少なそう。

プリンシパルエージェント問題は政治に当てはめて考えると分かりやすそう。

国民(プリンシパル)は、政治家(エージェント)に政治を依頼するが、政治家が何をやっているかは分からない(情報の非対称性がある)ため、監視にコストがかかる。